(第2回) オープンOSで、ソフトウエアとハードウエアが分離

ハードウエアとソフトウエアが密接に連携するモバイル機器の世界では、ハードウエアベンダーがソフトウエアも開発組み込みを行っていた。ところが、Microsoft社はPDA用のOS、Windows CEを開発し、カシオ計算機/NEC/COMPAQから1997年7月に日本語対応Windows CE を搭載したPDAが発売された。オープン化によって電子手帳・PDA業界はOSとCPUメーカーとハードベンダーが連携して別々に存在する、PC同様のビジネスモデルに大きく変化した。
NEC
Mobile Gear MC-CS11/12
カシオ計算機
カシオペアA-50
カシオ計算機
法人向けPA2100

この後Windows CEを搭載したハードウェアとしていくつかのタイプのものが登場し、新規参入するメーカーも多くなった。1998年に日立、Hewlett-Packard、COMPAQ 1999年に富士通、2001年に東芝が参入している。
一方ソニーは2000年にPalmOSを搭載してCLIEを、2001年NTTドコモからはPHS通信カードで無線通信するsigmarionを発売している。
富士通1999年
IntertopCX300
SONY2000年
PEG-S500C
NTTドコモ2001年
sigmarion
東芝2001年
GENIOe550

●PDAはスマートフォンへと進化(スマートフォン=携帯電話+PDA)

1987年にサービスを開始したNTTドコモの携帯電話は、1994年に販売が自由化され、若者を中心に急速な普及と小型軽量化が進むことになった。1999年NTTドコモからiモードの携帯電話が発売された。携帯電話でメールのやり取りや情報の閲覧が可能になり、PDA機能との融合が始まる。

その後海外市場では、PDAを発祥とするオープンなOSが搭載されている携帯電話も普及し始め、“スマートフォン”というジャンルを形成した。カメラやGPS機能を取り込み現在も進化し続けている。

日本では2005年にウィルコムが発売したW-ZERO3が音声通話機能とPDA機能を併せ持つスマートフォンの代表格である。OSにはWindows Mobile 5.0を搭載し3.7インチの液晶画面ながら片手で握って通話できるスリムなサイズに設計されている。
W-ZERO3