電卓と電話のテンキー配列はなぜ違う

電卓のキー配列は、もともとキャッシュレジスタの配列から来ています。キーパンチャーが数字を打ちやすいように比較的頻度の高い「0」を手前に置き、「0」に近い数字を手前から順に配列する方式でした。電卓を商品化した事務機器メーカーはレジスタに縁が深かったことから、この配列を採用しました。

一方、電話の場合は、昔ダイヤル式だった時、指の無駄な動きをしないでダイヤルしやすいように「1」から順に番号を並べた配列としたのが始まりで、現在のプッシュフォンや携帯電話にもその名残で用いられています。

どちらが効率的か人間工学的に良いのかで1980年代のISO(国際標準化委員会)で論争が起き、海外勢の電話配列派が優勢でしたが、日本の電卓配列派が紹介した「電卓配列でOLが目の覚めるようなスピードで入力しているビデオ」を見て会場が静まり返ったそうです。結局は慣れや熟練の問題であるとの結論に達し、それ以後、この論争は無意味となりました。