電子辞書の歴史について


1. 電子辞書とは

ここで述べる電子辞書は本体にメモリを搭載し、電子化された辞書データをその内蔵メモリに格納した専用器を指します。

この電子辞書には液晶画面とキーボードまたはタッチパネルを備え、内蔵メモリに様々な辞書データを記憶している。そして、紙の辞書は索引から言葉を調べるが電子辞書はキーボードなどで文字を入力して言葉を調べることができる。他にも、電子ならではの便利機能が多彩で、例えば、内蔵する複数の辞書から一括で辞書を引くことが出来たり、辞書の中でわからない単語、漢字などもジャンプ機能を使えば簡単に辞書を引くことができる。

また、電子辞書が登場した当初は、単語集のような簡易的なものであったが、その後、英和・和英辞典、国語辞典、漢和辞典、英英辞典など、搭載する辞書によりさまざまな機種の電子辞書に展開された。

近年では半導体メモリの低価格化・大容量化に伴い、数十冊から百冊以上の語学辞書、専門用語辞典、百科事典、学習用教材などが1台の電子辞書に収められ、手書き認識、音声機能、メモリーカード、カラー液晶などの機能を搭載するものもあり、多様化している。

現在、電子辞書は、単なる紙の辞書からの置き換えではなく、情報、学習ツールへと進化している。



2. 電子辞書の歴史

(1)

第一世代:携帯型の簡易タイプ(1979年〜1985年頃)
国産第一号機は1979年11月にシャープから発売されたIQ-3000で収録語数は英和が約2800語,和英が約5000語,画面は16桁×1行の液晶ドットマトリックス表示で,日本語訳はカタカナでの表示であった。技術的には電卓技術を応用し、また、メモリや液晶のコストが高価格であったため、収録語数、表示能力に限界がり、単語集のような簡易的なものであった。

1979年 IQ-3000
国産第一号機

シャープ

シャープ

 
1981年 TR-2000
手帳サイズで厚さ8ミリ

カシオ計算機

カシオ計算機

   
(2)

第二世代:収録語数の増加と表示方法の発達(1986年頃〜1989年頃)
第二世代では、収録語数で紙の辞書とほぼ同等の語数を収録し,表示方法が漢字と仮名で表示される電子辞書が誕生した。その当時の技術としては最先端なものだった。これ以降、辞書を本格収録した電子辞書が登場し、発展していく。

1988年 ID-7000
業界初カード対応

キヤノン

キヤノン

       
(3)

第三世代:本格収録タイプの登場と安価なスタンダードタイプに二極化(1990年頃〜1995年頃)
この世代では、ソニーが電子ブックプレーヤーの第一号機であるDATA Discman DD-1を1990年に発売した。それは,電子ブックという機器によりCD-ROMメディアを再生する装置で,紙の辞書を本格収録することも可能になった。また、現在の電子辞書の発展に大きく影響したICタイプの電子辞書では1992年に紙の辞書を本格収録したIC電子辞書、セイコー電子工業(現セイコーインスツル)のTR-700が登場する。
以降,形状や使い易さの面から主力の電子辞書はICタイプの本格収録電子辞書に移行して行くが、ユーザーの使用目的に応じて本格収録タイプと非本格収録タイプ(以下スタンダードタイプ)の2タイプに分かれていく。

1992年 TR-700
本格収録一号機

セイコーインスツル

セイコーインスツル

       
(4)

第四世代:本格収録タイプの市場拡大(1996年頃〜1999年頃)
この世代はメモリや液晶の低価格化が進むことにより辞書の複数搭載や大型液晶画面、タッチパネル採用など機能面が向上し、本格収録タイプの電子辞書の市場が大きく成長する発端となる世代である。また、形状的なものでは名刺ケースサイズを実現したDD-ICシリーズ(ソニー)などもあり、小型化の本格タイプ収録電子辞書も登場した。これにより、本格収録タイプの電子辞書の需要が徐々に増加し、ユーザー層が拡大したが、市場的にはスタンダードタイプの安価な電子辞書がまだ主流であった。

1996年 XD-500
本格収録タイプ参入

カシオ計算機

カシオ計算機

 
1997年 PW-5000
本格収納タイプ参入

シャープ

シャープ

   
(5)

第五世代:搭載コンテンツとラインアップの拡充(2000年頃〜2002年頃)
この頃になると、半導体の価格低下が加速、また、出版社からの電子化した辞書データの提供も増えてきたことで多数の辞書を搭載することが可能となり、多コンテンツモデルが登場した。ここから搭載辞書数の競争が始まる。また、電子辞書を使うユーザー層も高校生からシニア層、女性層と多様化し、各ユーザー向けモデルが登場した。これにより様々な本格収録タイプの電子辞書が店に並ぶことになり市場は大きく伸びていく。一方、値段の安いスタンダードタイプの人気も根強く、数量的にも大きく伸ばしてきたが、この世代の中盤より数量が減り始め、本格収録タイプに移行していった。

2000年 SR8000
英語学習向け

セイコーインスツル

セイコーインスツル

 
2000年 IDF-3000
本格収納タイプ参入

キヤノン

キヤノン

 
2001年 XD-S1200
高校生向け

カシオ計算機

カシオ計算機

(6)

第六世代:音声、カラー、追加型カード対応など機能の発展(2003年頃〜2006年頃)
各社、差別化した本格収録タイプ電子辞書の開発の時代に突入する。これらの開発により電子辞書の便利さが徐々にユーザーに浸透し、国内市場が伸びたとともに海外市場をターゲットにした海外向け電子辞書も増えてきた。また、その反面、この世代から簡易的なスタンダードタイプの電子辞書は衰退の一途をたどる。
この頃の本格収録タイプの電子辞書では、技術面で音声発音、カード対応、カラー液晶などが多く採用され、手書き認識を持つモデルも開発された。また、本体では堅牢性の向上が図られ、搭載辞書では専門辞書、大型辞書、各国語辞書及び辞書以外の学習向けや趣味、実務コンテンツの搭載も盛んに行われた。これによりユーザーは本格収録タイプの電子辞書に流れが加速し、市場が伸びた。

2002年 PW-C5000
業界初カラー液晶

シャープ

シャープ

 
2003年 PW-C6000
ブックプレーヤー機能搭載

シャープ

シャープ

2003年 SR-M4000
英語学習者向け

セイコーインスツル

セイコーインスツル

 
2003年 WordtankV70
中国語漢字手書き文字認識

キヤノン

キヤノン

(7)

第七世代:2006年以降
2006年末頃から手書き入力パネルを備えた電子辞書が登場した。モノクロからカラー液晶画面への変化期で、ワンセグ機能搭載モデルが発売されたり高精細化など表示の多様化もこのころからである。
2010年頃からは電子辞書市場でカラー液晶画面が過半数を超えたと考えられる。また、多彩なコンテンツやカテゴリーの多様化など電子辞書の裾野がより広がった。

2006年 XD-ST6200
6ヶ国発音機能

カシオ計算機

カシオ計算機

 
2006年 PW-AT750
手書きパッド搭載

シャープ

シャープ

2006年 SR-G10000
VGA TFT搭載

セイコーインスツル

セイコーインスツル

 
2006年 PW-TC900
ワンセグ搭載

シャープ

シャープ

2007年 XD-SW4800
業界最多英単語ネイティブ発音8.5万語

カシオ計算機

カシオ計算機

 
2007年 WordtankM300
ニッケル水素電池対応

キヤノン

キヤノン

2008年 SR-G9001
PCから検索する機能

セイコーインスツル

セイコーインスツル

 
2009年 SR-S9001
ユーザー辞書・ドリル機能

セイコーインスツル

セイコーインスツル

2010年 XD-A6500
単3電池駆動カラー液晶

カシオ計算機

カシオ計算機

 
2012年 XD-D2800
小学生向け

カシオ計算機

カシオ計算機

2012年 WordtankZ900
フラット・スライド・チルド3Way

キヤノン

キヤノン

 
2012年 PW-GX500
タブレット型カラー辞書

シャープ

シャープ

2013年 XD-N6500
動画コンテンツ搭載

カシオ計算機

カシオ計算機

 
2013年 PW-GX300
音声を重視した英語学習

シャープ

シャープ

2013年 WordtankA511
海外旅行者向け辞書搭載

キヤノン

キヤノン

 
2013年 DF-X10001
スマートフォンと同様なUI採用

セイコーインスツル

セイコーインスツル

2014年 XD-U4800
手のひらサイズのデジタル単語帳

カシオ計算機

カシオ計算機

 
2014年 PW-SB1
シーンに合わせて使い分け2Way

シャープ

シャープ